2015年2月1日日曜日

ソーシャルアクションの方法  なぜデモが影響力を持てないのか(5)  マスコミの機能不全1

前回の記事では、問題意識の連鎖反応を拡大する鍵を握っているのは、マスコミの報道の仕方であると書きました。

では、私が参加した3つのデモについて、マスコミの報道の仕方はどうだったのでしょうか。私の当時の印象では、デモについての報道は、非常にさらりとした、通り一遍の報道であったと思います。このようなテレビの短時間の報道、あるいは新聞の小さな見出しでは、デモの熱は広がらず、問題意識の連鎖反応が広がっていくはずもないなと思ったのを覚えています。

この記事を読んで下さっている皆さんも感じている方が多いと思いますが、今のマスコミは、完全に機能不全に陥ってしまっていると思います。権力を批判的に見る目を失ってしまっているのです。口では公正中立な報道と言いながら、政界や財界の顔色をうかがい、国民の生活を守るというスタンスの報道を意図的に控えるようになってきていると思います。もちろん、各テレビ局、新聞社によって、報道内容や報道姿勢に違いがあるわけですが、大手テレビ局、新聞社ほどその傾向があるように感じます。

例えば、今、沖縄では、普天間の在日米軍基地を辺野古に移転するための工事を進めています。沖縄では、昨年12月に県知事選挙が行われ、基地の移転に反対する翁長知事が当選しました。しかし、日本政府は沖縄県民の民意を無視し、半ば強制的に工事を進めています。そういう国民の生活に直接関わる政治問題や社会問題に対し、沖縄の地方新聞は、かなりストレートに日本政府を批判する記事を書いています。インターネットでそれらの新聞の社説を読むだけでも、ジャーナリズム精神というものを感じるのです。それに対して、大手のテレビ局では、沖縄の基地問題はほとんど話題にもなりませんし、政府批判自体を自粛し、手控えているように思えます。


大手のマスコミが国民の生活に関する問題、社会問題を大きく取り上げなくなっているというのであれば、どれだけデモのようなソーシャルアクションをしても、それが国民に情報として伝わらず、問題意識の連鎖反応はなかなか拡大していきません。そして時間の経過とともに、日本に社会問題が存在するという認識自体が国民の意識から消えていってしまいます。

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