2014年10月5日日曜日

ソーシャルアクションの方法  年越し派遣村に学ぶ(1)  マスコミを味方に

今回からは、年越し派遣村の開設状況を分析し、ソーシャルアクションを成功させるための具体的要素を取り出してみたいと思います。
日比谷公園1

年越し派遣村が成功した重要な要素の1つですが、マスコミを味方につけていたということがあると思います。

マスコミを味方につけることは、ソーシャルアクションを実行する上でものすごく大切なことです。前回も書きましたが、湯浅氏をはじめとした年越し派遣村に関わった人達は、日本の多くの人達に、「今、日本に貧困や派遣切りという大きな社会問題が存在する」ということと、「貧困は自己責任ではなく、社会の問題である」ということを伝えることに成功していました。それができたのは、湯浅氏達が広報戦略の重要性を認識し、マスコミを味方につけていたからです。

湯浅氏達は、テレビの討論番組で、貧困自己責任論を主張する財界の著名人を片端から論破していました。貧困や派遣切りという社会問題について、テレビで公開討論をするということも、マスコミの協力なしではできません。

現代は、インターネットで誰もが個人として情報発信できる時代ですが、ある情報を日本全国の人に知ってもらいたい時、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌というマスコミの影響力は、まだまだ絶大だと思います。特に年代が上にいくにつれて、インターネットを使わない人が増えていきます。そういった人達が頼りにしている情報媒体は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌なのです。社会問題を多くの人に知ってもらうということを考えると、最初にマスコミに知ってもらい、味方になってもらうことは本当に大切なことです。

湯浅氏のテレビでの公開討論を見て、私は、庶民にとってのカリスマが日本にようやく現われてくれたかという思いがしました。湯浅氏は、資本家や企業の側でなく、一般国民の側に立った意見を常に主張してくれていました。多くの人が、この人なら閉塞感のある今の日本社会を変えてくれそうだと感じたのではないかと思います。マスコミを通じて、湯浅氏は、徐々に世直しのヒーローとして認知されるようになっていきました。


≪参考文献≫
湯浅誠『反貧困』岩波新書、2008

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